Blumio – 日本人がドイツ語でヒップホップを

『Meine Lieblingsrapper —  お気に入りのラッパー』

今まで日本語ヒップホップに親しみづらかった私が最近、中学時代に流行っていたドイツ語ヒップホップの第二波を思い出させるShing02にはまっちゃった。リリックスもビートも西洋ラップの成熟さを持ち、しっかりしている。だけどドイツにも日本人ラッパーが活躍していることはYouTubeではじめて知った。Shing02のレベルではないが、ブルーミオという名で有名になろうとしている努力家の彼もちょっと面白い。24歳、ドイツのドゥセルドアフ出身。最初はドイツの有名ラッパーの物真似が連発される『お気に入りのラッパー』で注目を浴びたらしい。フェリスMCやセミ・デルックスの真似はいまいちだが、その他のカース、ヤン・ディレイ、ズィード、マスィーヴェ・テーネなどの声をうまくパロディーしてそれぞれのリリックスの特徴も把握し、かなり面白い。その後は物真似にとどまらず、作曲が集めた初アルバムを作り出してそこからのいくつかの曲を、低予算の美学を丸出しにしたビデオとともに自分のYouTubeチャンネルに配信した。

『反暴力ソング』『サメについて話そう』『薔薇の戦争』・・・初アルバムとしての曲のまとまりはなく、時には男女関係、時には拝外思想をテーマにしている一方、彼の目的が明確さに欠ける分リリックスは皮肉的というかそっけないユーモアで印象深い。

個人的には曲は趣味とは言えないけれど、彼が色んな差別の犠牲となるドイツでの東アジア人マイノリティーの一員として自分の性格をばりばり主張することは嬉しい。僕と同じ世代のアジア系ドイツ人と、ドイツを故郷とするアジア人は、ドイツに多く住んでいるトルコやロシアからの移民よりも珍しい、少しエクゾチックな存在であり、もっと公に活躍したらいいと思う。実際、去年の総選挙であたらしく保健相を就任したフィリプ・レースラ氏(ドイツの自民党)はベトナム戦争の難民としてドイツ人夫婦の養子になり、北ドイツで育った。比較的に地味に生活しているアジア系の人はチャイナ・ショップやタイ料理屋さんの枠を超えて他にも文化や政治に開花してほしい。

YouTubeで見られる曲とブルーミオのウェブサイトから判断すれば、彼もアジア人が受けがちな差別を経験し、そこから寛容にたいする意識が生まれたらしい(ただ女性にたいしての差別意識はどうや?)。ネオナーツィたちに訴えかける曲『ヘイ・ミスター・ナーツィ』に出てくる差別用語、シュリッツァウゲ(細目)、ライスフレサ(米食い)、ヤプセ(英語のジャップと同様)は私自身にも時おり投げられた覚えがある。それをまたアイロニーでひっくり返して自分のことを「ダーティー・ジャップ」と呼んたと同じようにブルーミオは自ら設立したレーベルを「ヤプセンソウル」と名付けた。ファーストアルバムを飾るロゴはヨーロッパでは典型的な日本人の戯画である。YouTubeでは『ヘイ・ミスター・ナーツィ』についての討論がかなり逸脱してきた・・・

『Hey Mr. Nazi — ヘイ・ミスター・ナーツィ』

去年ラッパー活動を本格化したブルーミオはこれからどんな歌をつくるだろう?なぜトルコ人なまりのドイツ語をしゃべっているのか?どうして歌のなかに少しでも日本語が活かされていないのか?2010年にブレイクできるか?そして、日本のテレビはいつ彼に気付くか?詳しくは彼のウェブサイトで・・・

最後に僕のお気に入りの曲『Rosenkrieg — 薔薇の戦争』

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